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今までずっと、踏んでしまうのは私だった。そんなつもりは全然ないのに、知らずに踏んでしまい、そして無防備に踏んだ足を浮かせ爆発させていた。最近やっと理解しだした私は、以前に比べて踏んでしまうことも、その足をあげてしまうことも少なくなっていた。踏んだ瞬間気づいて謝り、爆発解除して貰っていた。少し学んだ自分が偉いと思っていた。
だけど、初めて私の地雷が心の中ではじけた。
私が私を殺すために設置していた心の中の地雷。それを踏まれた。あの人が踏んで足をあげ、そして爆死したのは私だ。私はあの時木っ端微塵になった。自分に仕掛けた地雷が気持ちよいほど私を壊した。
本音で何かを言うことなど出来ない。
そんなことは出来ない。あぁしてほしい、こうして欲しい、こうなる方が私は幸せだわ、、そんなのは私は嫌だ、・・そんなあれやこれやの本音を思ったままそのまま言うことが出来るなら、そう・・こんな場所を私は必要としない。「You
are my platinum.」に笑いながら、悩みながら、落ち込みながら、泣きながら、思い出して微笑みながら何かを書く必要など無いし、書いてしまったそれらを「どうかまだ私の傷口が生々しい内に見つかりません様に。すっかり乾いてから『もう忘れたーなんだっけー?』と笑える頃にしか見つかりませんように」と祈る必要もない。だけど相変わらず私にはここが必要で、読んで欲しいからではなく、要らないことを口走らない為に、本音や濃い感情を直接不作法にぶつけてしまわないために、ここが必要だった。
そして均衡を保ち「ううん全然いいよ」「うん、そうなんだ。わかった」「あ、大丈夫大丈夫」「忙しいなら全然平気」「また今度覚えていたらお願い」と言い続けられた。一緒にいたい時も無理と言われる前に「もう帰るね!」と笑って言えたし、5分後にはあの人は車で家に着き、私はあと1時間電車に乗ってその先はもう手段がないからタクシーに走り長い列の順番を待っていても、それでも「全然大丈夫、ぴゅーっって走っていってタクシー一番とるから!ばいばーい!」と笑った。送ってやると言われたときでも「明日早いからいい、遅くなるからいい、送ってもらわなくていいから!」と必ず言った。一度も自分から送ってなんて言ったこと無かった。
なぜならあの人を愛しているし、今日会えたのは嬉しいし、いい女だといって貰えるのがなにより望みだったから。忙しいのも大変なのも判っているから、あたしの本音であの人を困らせるのだけは勘弁だった。
だからこそ、夜中にここに書き込んで、「今日も困らせなかったよねきっと・・・。会えて嬉しかった。」と思い、そしてPCを落とし眠っていた。
だけど・・・本音で、心の底から「先に帰るね」とか「全然大丈夫」とか「あ、駄目だったら全然いいよ」って言っている訳ではない。そんなに聖人君子ではないし、何より私はあの人のことが好きだから。一緒にいたいし、二人で楽しいこともしたい、一緒に進んでいたい、やっぱり一人で帰るのは寂しいし、電話が無いのは苦しい、楽しい様子を家で思うのは苦しいし、色々聞く事柄がいちいち痛くて「そうなんだー。へーー。」と聞きながら、血がドクドク流れる。それでも私は「いいよーばいばい!」っ笑える女でいたかった。そう居たかった。二つに分かれる心をおとなしくさせ、良い子のあたしが支配出来ていた。その同じ私が地雷を仕掛けていたんだ。ずっと前から地雷を持っていたんだ。
とても美味しい食事と美味しいワインを共有し、「じゃさよなら」って時になって、あの日私はもうすこし一緒に居たかった。ここで降ろされ電車で立って帰るのが辛いからでなく、ましてや楽がしたくて家まで送って欲しいのではなく、もうちょっと居たかった、それだけだった。だから酔っぱらって笑いながらふざけて言った。いつも降ろして貰う駅ではなく、家の近くの駅でもなく、その中間の、降りたこともない「**駅まで送ってね(^o^)」と。「駄目ならじゃー***駅まで送ってね(^o^)」と、また降りたこともない別の途中の駅を言った。「なんで**駅やねん」と笑うと思っていたら、あの人が怒った。「酔っぱらって冗談めかして本音を言うな」と突然激しく怒鳴った。
その時あの人が私の地雷を踏んだ。そして呆然としていた時に付け加えて怒鳴られた言葉が私を木っ端微塵にした。「あの時お前は俺の邪魔をしたんだ。仕事の邪魔をすんな!」ハンドルを殴りながら怒鳴られて、私は自分の心が吹っ飛ぶ音を聞いた。木っ端微塵になった。
本音?・・本音ってなぁに?途中の、降ろされてもとても困ってしまう知らない駅に降ろしてねというのがあたしの本音? それとも冗談めかして本音を言うなって事?じゃ、素面で本音を言い続ければ良いの?あぁしてほしい、こうして欲しい、こうなる方が私は幸せだわ、こんなのは本当に辛い・・そんなあれやこれやの本音を思ったままそのまま、キッパリと冗談めかさず言えば良いの? それとも・・冗談めかしてさえも本音を言うな、一言も欠片も言うな、何時も完璧ないい女でいろという事?
酔っぱらっていても「家まで送って」なんて言ったことも無い私が、途中の駅までとふざけて言うだけでこんなに怒られるの?それも駄目なの?・・・それなら毎日パリ経由で家まで送ってよ。イタリアまわって家まで送ってよ。シャンパン割って世界一周に出航しシャンパンとキャビアに明け暮れながら家まで送ってよ!毎日毎日そうしてよ!!! そんなバカなこと言って怒られる方がマシだった。
怒鳴られるのが気を失いそうに怖くて泣きながら謝ったけれど、「今すぐここで降ろして、ごめんなさい」と飛び降りたけど、だけどどの答えも飲み込めなかった。いつもなら少し大きすぎても飲み込めるそれらがあの日は無理だった。『やっぱり言わなければ良かった。聞き分けのいい女であることにあたしの存在価値が在るのに、バカだ、いい気になっていたんだ。』・・そういつもの通り思ったけれど、でも、あの日はどうしても飲み込めなかった。悲しいくらいに踏まれた地雷は大きかった。
電車に飛び乗り、タクシーにはこんな時でさえ律儀に走ったけれど凄い列で、あからさまに泣いてる自分が情けなくて、初めて家まで歩きはじめたら果てしなく遠くて・・。電話しようと思った友達もこんな夜中じゃ寝ているだろうと諦め、一時間以上歩いている間に、私が粉々な事に気づいたのは、唯一センサー付きの防犯灯だけだった。病院の防犯灯に突然照らされ、まぬけに立ち止まり、余計に情けなくなった。
あの人の言っていることは間違っていない。「冗談のつもりでもそこに本音が混ざっている」という、あの人の言うとおりだろう。私は本音を冗談めかして言ってしまった嫌な女なんだ。おまけに私は・・恐れていた通り、やっぱり邪魔になっていたんだ・・・そうなんだ。絶望的に悲しかった。自業自得だろうけれど悲しくて死んでしまいそうだった。 「違うよ、そうじゃない、あたしはそんなつもりじゃなくて・・」という言葉などあたしには一つも無い。その通りなんだ。
あぁ、わがまま言っても何言っても、役に立たなくてもなんにもしなくてもそれでも愛される女になりたいと泣けた。こんなに思っていても駄目ならこれ以上私はどうすればいいのだろうと泣けた。冗談でも本音をチラリとも見せてはいけないなら感情の無い女に生まれ変わるしかないと泣けた。あたしは人形でもサイボーグでも無く「まぬけで泣く人間」なのにとまた泣けた。
今もあの人の事が好きだけれど、私を木っ端微塵にしたあの人を、同じように好きだけれど、だけど、どんなに必死に拾い集めて繕ってみても、心の小さな1ピースがどこかに飛んで無くなってしまったような気がする。
二度と邪魔にはなりたくない。
もう望まない。冗談でさえ何も望まない。
そう思った夜だった。
You sprung my mine.
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