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| ここに書いてしまおうとしていたいくつかの項目をゴミ箱に捨てた。表に出さずに葬り去った。飲み込んで我慢したのではなく、直接言葉で伝えたから。もう要らなくなったから削除した。 いつも伝えようとする気力さえなく飲み込む努力のみしてきたけれど、この前欠片が無くなってから、どうしても飲み込めなくて、口から思いがポコポコと際限なく出てきてしまいどうしようもなくなっていた。それらはまだ何とかぎりぎり「透明」で、あたしの口から出た段階では人には見えない。あたしだけがその見えない無数の固まりに足元から埋まっていく。助けてと叫ぶ間もなくその言葉を押しのけ固まりが出てくる。よくこれだけ出てくるものだと関心するくらいに大量に。あのこともこのことも・・・。そしてこの期に及んで「見つかるまでにもう一度飲み込もう」としていた間抜けなあたし。生まれてくる子供を「まだお腹の中に」と意地を張るようなもの。この固まり達は「出たい」と思っている。もう外へ出たいと。無理だと気づく。こんなに大量の、こんなに重い無数の固まりをもう一度のみこむことはもう無理だと、さすがのあたしも気づく。 でもどうしよう、あたしにしか見えない固まり達。それらに押されて一緒にいても何も話せない。楽しいことも楽しくないこともおもしろいこともおもしろくないことも、一切あたしの口から出なくなった。何も話せない。だって順番待ちしているもの。固まりが出終わるまで他の何も通らない。 それでも固まりは透明だからあの人にはやっぱり見えない。何故黙っているのか、何故いつものように普通に楽しげに話さないのかあの人には判らない。何故なのか聞かれても口を開けるとこぼれそうで私は答えられない。そしてあの人の車の中で、自分のはき出し続ける透明な固まりで圧死しそうになる。 そんな不自然な事を続けていて、ある日ついに破裂した。命綱が消えて破裂した。 |
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「もう駄目だ」とそう思った。今すぐ車に飛び乗ってとりあえずどこでもいいから行っちゃおうと思った。吐き出した固まりはそこに放置していこう、誰にも気づかれずに腐っちまえ!あたしはもう駄目だ。自分の固まりに溺れて死んでしまう、だからもういい。車からぽとぽと固まりを落としながらどこかに行こう。固まりが出なくなるまでどこかに行こう。 何も言わずに消えようと思っていたその時、突然あの人に見えたらしい。透明だった固まりがなぜか見えたらしい。「何を一杯抱えているのか言ってみろ」と言われた。今まではあたしが話す前から「お前の考えていることはとりあえず「間違っているから」」と言っていたのに、その日は黙って聞いてくれた。だから、見せた。半透明になったそれらをガチャポンのように一つずつ開け、中身を見せた。腐っているのもまだ小さいのも悲しいも辛いも嫌だったも誤解も望みも願いも見せた。笑うぐらい沢山あるそれらを割っては見せ割っては見せ説明した。 中に入っていたものは、あの人にとって本当に意外だったらしい。割る度に初めて気づいた、思いも寄らないものだったらしい。そっか・・割って見せなければ百年間念じても伝わらなかったんだ。割って見せて良かった。聞いて貰えて良かった。 そして今私の周りには固まりが無い。これからも出てくるけれど、出てくる度に割ってみせることにした。「うっ」「ポコッ」「パカッ」「ほら!」って。 |
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| それ以降、ちょっと戸惑うぐらいに話を聞いてくれようとする。大丈夫だからと言ってくれる。最後じゃなくて何時も大丈夫と言ってくれる。それでも小心なあたしは諸手を振って喜べず、「黙って飲み込んどけ!」と何時怒鳴られても良いようにまだ構えているけれど、・・・でもあぁよかったって思っている。 飲み込まずに見せることにしちゃったあたしを誉めてください。「あほう」から、「小さいあほう」に昇進です。 |
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| もう固まりに埋もれませんように。 |
2003.10.27
Baker's dozen Jiu